こんなにも、いそがない企画142005/11/14 13:31

「誰もいそがない町」(ポプラ社)という本の出版に至る、あまりにもいそがない物語を書きおこしている。

(続き)
これまでに出してきた本で、藤井青銅という名前に多少なりともイメージがついているのなら、「笑いの作家」だろう。それは確かにそうで、異論はない。
が、今回の企画は、そのイメージとは違う。ぼくの原稿を見て、編集者は「いいですね」といいながら、販売側からNGを出される理由はそれかもしれない、と思いはじめていた。
今までの作家イメージとあまりに違いすぎると、そりゃ出版社はビジネスとして不安になるんだろうな。

「だけど、人は一面のみで語れるわけがないじゃないか」
とぼくは思う。
誰だって、いろんな面を持っている。多面体だ。これは作家だからアーチストだからというわけではなく、誰だってそうだろう。安っぽいドラマの登場人物みたいな、単純な正義漢や、わかりやすい悪者、いつもニコニコしている悩みなき女性……などという人間は、存在しないのだ。

ぼくは「笑い」を志向しつつも、この本のような世界も好きなのだ。別に路線変更とかではなく、どっちも藤井青銅なんだけどなぁ、と。
でも、やはり出版社というものはレッテルでビジネスをするのだろう。これからは、そこらへんの対策をO氏とやっていくか……。
そんなことを考えていた矢先、O氏から思わぬ知らせが入ったのだ。
「一身上の都合により、退社します」
(続く)

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