ほっと胸をなでおろす2011/04/24 23:15

けっこう内心はドキドキだったんですよ。

23日(土曜)にあった『柳家花緑の世界は落語だ!』という落語会。

時事ネタ・ニュースを笑いのエンターテインメントにするのは、
これまでも「コント」「ドラマ」「ショートショート(小説)」「トークネタ」で書いてきたことなので、(まあ、できるだろう)と思ってました。
しかし、「落語」としてが、実はちょっと不安だったのです。

いえ、落語として演じられることへの不安ではないですよ。そこは、達者な花緑師匠だから、全面的に信頼しています。脚本以上に面白くなることは、最初からわかってました(事実、そうなりました)。

ただ、落語ファンのお客さんがどう受け止めるか…という点が不安だったのです。(このへんの、落語への僕の思いは、拙著「ラジオにもほどがある」にも書いてます。現在、小学館文庫から、タッタ620円で発売されたばかり!……告知終わり)

そしてもう一つの不安は、この大災害後…いや、まだ「後」ではありませんね。現地では「最中」です…に、時事ネタ落語(災害を前提にした時事です)を、お客さんがどう感じるか?…という点。これはまったく、未知の領域でした。

でも、杞憂でしたね。お客さんはおおいに笑ってくれました。それは投げやりで刹那的な笑いではなく、優しい心で前向きな笑いでした。

僕は、「日本人の底力」…という万能薬みたいな言葉があまり好きではないのですが、
この時は、「みんな、バランス感覚がしっかりしてる。大丈夫だ」と思いましたね。あと、「落語という話芸の持つ懐の深さ」も実感しました。

それにしても驚くべきは、柳家花緑師匠の驚異の記憶力と、舞台度胸と、リカバリーの力! 総合すれば「落語力」なんでしょうね。落語家さんって、ホントに凄いなあ。尊敬します。

さて、時事ネタというのは、その上っ面はたしかに流れ去ってしまう時事ですが、底に普遍的な人間の心が描かれていれば、実は長生きするものなのです。
今回書き下ろした4ネタのうち3ネタは、そういう意図で書いています。もしかして、1つでも、長生きしてくれたら嬉しいなあ。