これはみんな、きみの話32011/07/31 22:58

さらに、「誰もいそがない町」についての、思わぬ反応を記している。

出版から4年たった頃。NHK-FMでラジオドラマを書いた。ぼくのいつものテイストであるコメディだ。この時、はじめてお会いした女性ミキサーさんが、遠慮がちに聞いてきたのだ。
「あのぅ…、藤井さんって脚本家ですよね?」
「ええ」
「本も、お書きになります?」
「書きますよ」
「……じゃあ、『誰もいそがない町』っていうのは?」
「ああ、ぼくの本です」
「やっぱり!?」

彼女は30歳前後。書店であの本を見て、すぐに買ってくれたらしい。その後も愛読書として、本棚にある。
ところが今回、彼女が担当するドラマ台本を渡され、作・藤井青銅という表記を見て、驚いたという。
「だって、あまりに作風が違うので、同姓同名の方かなと思って」
「こんなヘンな名前の、同姓同名はいませんよ」
「それでホームページを調べてみたら、やっぱりご本人みたいだなあ…って」

あちこちで、ぽつりぽつりとこんな方に、あのショートストーリー集のファンと出会うのは、とっても嬉しいことだ。
できれば、ぽつりぽつりではなく、たくさんの方がいいのだけれど。