これはみんな、きみの話82011/08/07 21:36

ここからは、「これはみんな、きみの話」という新タイトルで進めていく。

この電子書籍には、最初から「写真をつけましょう」ということになっていた。
出版社には大量の写真ストックがある。それぞれの話に合った写真を探して組み合わせよう、というわけだ。

ところがある日、編集者M氏が言った。
「藤井さん、カメラマンと打ち合わせをしましょう」
「え?」
ご存知のように、電子書籍は単価がたいへん安い。それは購入者にとっては嬉しいことだが、制作者にとっては頭を悩ますこと。つまり、制作費がかけられないのだ。
なのでぼくは、すでにある写真ストックの中から探せばいい、と思っていたのだ。それならお金がかからないし、と。
ところがM氏は「撮りおろしましょう」と言うのだ。ぼくは、
「え! 制作費かけていいんですか?」
と心配してしまった。
あんまり著者が言うことじゃないと思うが、ぼくは長年、少予算で仕事をすることに慣れているので、ついこういう反応になってしまう。哀しい性だなあ…。

こうして、カメラマンA氏と打ち合わせ。一作品に一点、写真がつくことになった。撮影のロケ・スケジュールとか聞いていると、すごく嬉しくなってきた。