感想文優秀作発表!2012/10/05 11:34

「日本人はなぜ破局への道をたどるのか?」
大人の読書感想文、優秀作二つが決定しました!
こちらです。

http://www.allnightnippon.com/kw/amanuma/contest.html

これ以外にも素晴らしい感想文があったので、
今後、順番にここで紹介していこうと思ってます。
(もちろん、ご本人の了解を得たのち)

読書感想文(1)2012/10/06 11:28



「大人の読書感想文」 RN「ジャムとばら」さんの作品です。

78年周期法則の通り、歴史的に大きな節目が近い内に来るだろうという予想は、ここ数年の政治、経済、その他多くの諸問題を鑑みればそれほど突飛な話ではないという印象だ。
しかもそれはノストラダムスの大予言やマヤ文明といった、空から降ってくるような話ではない。果たして終戦以来の破局を迎えることになるのか、前とは違う道に進むことができるのか。

今が明治維新の時とも終戦の時とも違うのは、国を動かすことができるのが一部の人間だけでなくて私達国民全体だということだ。
子供の頃、敗戦を踏まえて日本は民主主義の国になったと教えられて、とても良かったと思った。自分達で国の進む方向が決められるのならもう過ちは繰り返さなくて済むと。

しかし大人になるにつれ、世の中の問題は山積みになる一方で政治はどうしようもない現状を目の当たりにし、民主主義だからといって正しい選択が出来る訳ではないと思い知った。
そしてそれはもちろん主権者たる国民にも責任があることだ。前とは違って私達一人ひとりには、ものを知る力も、声を上げる力も、行動する力も、ずっとあるはずなのだから。

民主主義はしんどいという本の言葉は全く同感で、私達は日々の生活だけでも精一杯なのだ。
強い閉塞感の中で国の行く末どころか自分の行く末すらわからないし、「何をやったって無駄だよ」という諦めの雰囲気が漂っている。

それでも投げ出さず向き合うしかないと思う。チェックを怠らないようにして、この本のような試みをみんながすればいいと思う。
それも「私」や「誰か」だけじゃなくみんながそうするべきだ。思考停止して、誰かに任せて、いつの間にかとんでもないことになってしまうのは駄目だ。
歴史は繰り返す。しかし、まだ起きていないことは決まっていないし、変えられるのだから。

読書感想文(2)2012/10/06 17:46



「大人の読書感想文」 RN「マリアロハ」さんの作品です。

私は二人の子供の母親で、何の取り柄もない専業主婦です。そんな私が近頃ぼんやりと考えていたことがあります。「もしかしたら、そう遠くない未来に戦争が起こることもあるかもしれないなぁ」と。
まだ齢三十四の若輩者ですが、それなりに紆余曲折を経てここまでやってきました。人生には思ってもみないことが起きる時もあると身をもって知りました。だから、私もしくは子供たちが生きている間に戦争が起こらないとは限らないのです。
青銅さんは「破局」という言葉を使われていますが、それは日本人という大きなくくりで見た場合の表現で、私たちのような末端の人間には「破滅」が待っているのかもしれません。

今の日本は本当に気味が悪いと思います。ロンドン五輪で日本選手団が海外で活躍し感動を与えている間、国内ではいじめによる自殺、それを隠す学校や教育委員会のニュースばかり。
ですが「未来は見えないお楽しみ」と子供たちにはそう教えていきたいです。そうでないと、時代を変えるとまでは言いませんが強く生きる若者は育たないと思うからです。

読書感想文(3)2012/10/06 17:51



「大人の読書感想文」 「谷田宏江」さんの作品です。

電車の駅を2つも乗り越してしまったことはこれまでに ありませんでした。呑みすぎて寝てしまったとき以外で・・ それくらい、のめり込んで読みました。

大人になってから、日本の歴史に対して興味が持てるようになり 点と点が面になり、枝葉になってさまざまなことに繋がっていた ことを改めて知ることになりました。
藤井さん独自の切り口が、これまでとても難しく複雑化されて いた日本の歴史をとてもわかりやすく翻訳されたように感じました。

藤井さんのお母様のことが、ヒトラーのくだりについてのところに 出てきましたが、ほんとにそんなものなのですね。 当時は、そんなふうに世相をみんな見ているのです。
そして、一番の学びは、企業、組織にあてはめて読むと とっても実感があふれてきて、「ウン、ウン!」とうなづいては 納得していました。

市場が冷えて、実績が伸び悩むと、組織の中の リーダーたちはみな独裁者のように変貌します。 「言うことを聞かないやつは、要らない」実質の 首切りです。 そして、各セクション同士が責任転嫁しだします。 怖くて守りに入り、新しいことへのチャレンジを惜しむようになり 不のスパイラルにはいっていきます。

藤井さんのちょっと長いあとがきにもありましたね。 常に時代を切り開いていく人間は、どんなときにも 新たな挑戦をし続けている、というようなことが。 そうすることによって守ることと切り開いていくことが同時にできるのだと思います。

自分が今、まさしく組織の中の疲弊した状況のなかにいるので 身に摘まされるような気分で読みました。 変化を恐れず挑戦し続けて、伝えていくべきものを大事に守りながら 窮地を乗り越えていきたいものです。

現代と以前の時代のチャプターをフォントを変えているのも ユニークで、楽しんで読めました。

多くのピンチに陥っている企業戦士たちに読んで欲しいですね。

読書感想文(4)2012/10/07 16:58



「大人の読書感想文」 「北嶋 学」さんの作品です。

一言で言えば「時は螺旋(らせん)階段であって、そこから 臨む光景は似通ってくる」でした。
幕末から現在にいたる150年余りの近現代史を、78年を1サイクルとして、 3つに記述を分割し、並列して著述されている独特の構成で、
事件の発端から 経緯と時代背景や問題点を、既刊類書よりも圧倒的に分かりやすく 整理/要約されていました。

 通底する失敗の原因が、
・為政者側は民衆の知性や良心を信頼せずに、
 皮膚感覚としての現実を知らないで、
 世界標準という実態のない誤りに陥った失敗を、
 ひた隠しにして、引き返せないまま、より悪化させる。
・民衆もまた「誰かが、何とかしてくれる」という、
 根拠の希薄な希望的観測に身をゆだねて、責任転嫁をしている

という欠点が明確化されました。

 それは、つらい指摘ですけれども、何をすればいいのかの方向を指摘している ところに希望が持てました。