これはみんな、きみの話52011/08/02 10:16

電子書籍は…
《大長編でもかさばらない》
《本を何十冊も持ち歩ける》
…というメリットばかりが声高に宣伝されている。
が、実は、ぼくは以前から、
「そうだろうか?」
と疑問に思っていた。

だって、「大長編を読む人」や「本を何十冊も持ち歩きたい人」というのは、元々本をたくさん読む人なのだ。本屋さんにも足しげく通う人なのだ。
本好きなのは素晴らしいことだが、世の中には「本を読まない」「本屋さんにも行かない」という人たちが増えている。そういう人にとっては、べつに大長編も本何十冊分の収納も魅力ではないと思う。

それに、かつてケータイ・サイトで連載していた時の読者の感想メールが、ずっとぼくの脳裏に焼きついている。
「普段は本なんて読まないけど、ケータイだから読んでみました。面白かった」
というものだ。
ぼくの書く話は、そういう方たちに届けたい。

さらに、Webでの書き込みを見ると、「やっと電子書籍を最後まで読めた!」と書いている人がけっこういる。早い時点で電子書籍を買うのは、本好きな人のはずだ。それなのに、なかなか完読できないとは、どういうことだ?
ぼくも何冊か電子書籍を手に入れてみたが、やはり、最後まで読むのは相当な努力を必要とした。
(データは古びないし、持っててかさばるわけでもないので、いつでも読める)
と安心し、結局、途中でうやむやになってしまうのだ。

「ひょっとしたら…」
とぼくは考えた。
「…電子書籍に向いているのは、実はショートストーリーなんじゃないか?」