着物と座布団2013/08/25 23:30

「落語」というものをまったく知らない人にそれを説明する場合、どう言うか?
「着物を着た男が一人で、座布団に座って、面白い話をする芸」…ではないか。
当然、江戸時代でもそう? いや、そうじゃないのでは?

だって、江戸時代は全員が着物なんだから、わざわざ「着物を着た」とことわる必要がない。ハダカでなけりゃ着物に決まってるもの。
「座布団に座って」も同じ。直に座らなければ、座布団があるに決まってる。なので「座布団に」とことわる必要もない。

すると、「着物を着た男が一人で、座布団に座って、面白い話をする芸」は、「男が一人で、座って、面白い話をする芸」と同じ。
これは、着物も座布団も、落語の本質とは関係ないということなのだ。

いま、同時代落語なんて大層な名前でやってることを「洋服を着て、椅子に座ってやる落語」と説明してる。
でも、江戸時代と同じ理由で、現代はハダカでなけりゃほぼ洋服だし、座るのも普通は椅子だ。
だからこれは「男が一人で、座って、面白い話をする芸」=「落語」なのだ。

この前、山梨での落語会で、以上の話をしてみた。幸いなことに、わりと賛同してもらった(と、ぼくは感じた)。
だけどこれって、「要は面白い話だな?」ということになり、作者や演者の首を絞めることになるんだけどね…。