こんなにも、いそがない企画12005/10/18 01:47

「誰もいそがない町」という本が発売される(ポプラ社・11月7日)。
ぼくの本としては17、8冊目になるだろうか。とても気にいっている本だ。だが、これほど変わった経緯で、しかも実現までに時間がかかったケースも珍しい。
いくらタイトルが「いそがない」とはいえ、こんなにもゆっくりしてていいのだろうか?よくはない・・・と思うのだが、結果としてこうなってしまったのだ。
ここに至る、長い長い物語を書いておこう。

この物語は1991年10月に始まる。
当時、ニッポン放送で「イルカのミュージックハーモニー」という番組が始まった。ミュージシャン・イルカさんの番組だ。(現在も続いている。なんという長寿番組!)
ぼくは作家として、この番組を立ち上げた。
この中で「ポケットファンタジー」というコーナーを書くことになった。
ぼくの出身が星新一ショートショートコンテストなので、その手の物語を要求されるケースは多い。そして、多くのショートショートやドラマを書いてきた。しかし、これは日曜の朝の番組だ。ゆったりした音楽番組の中のコーナーだ。こんなところに、オチの効いたショートショートは似合わない。
というわけで、自分の中では「ショートショート」と「童話」と「詩」を足したような物語を書こうと決めた。オチがあるようで、ない。ないようで、ある。エッセイのようでもあるし、物語のようでもある。シンプルで、子供が聞いてもわかるが、これは大人に聞いてもらいたい。
そういうオリジナルストーリーを、毎週1本書き下ろすことになったのだ。
楽しいが、大変なことだった。

いまから、14年前のことだ。
(続く)