続・衝撃の光景2005/06/23 02:58

(続き)
……で、店員さんは結局、その本の束を棚ではなく、ドスンと傍らのワゴンに乗せた。ワゴンには、他にも何冊かの本が乗っている。
(ま、まさか……)
 という私の予想通り、彼はやがてそのワゴンをガラガラと押して、店の奥に消えて行ってしまったのだ。たぶん「返本」なんだろうな。う、う…、悲しい。なんだか、目の前で我が子と離れ離れになるようで、とんと安寿と厨子王の気分である。

 ここで気がついたのだ。店員さんは、どうして食い入るように「東洋一の本」の表紙を見て、悩んでいたのか? 考えるに、毎日山のように配本される新刊書の扱いについて、全国の本屋の店員さんというのは、
①著者が有名
②タイトルが有名
であれば、すぐにどの棚に置けばいいかわかる。そうでない場合は、
③どのジャンルの本か一目瞭然
であれば、やっぱり置き場所はすぐわかる。

 私の本が①②を満たしていないのは、毎度のこと。これはもはやしょうがないので、諦めている。では③なのだが、私はこれまでにいつも意図して、ジャンルの定かでない本を書こうとしていたのだ。「宇宙の法則」もそうだった。「団地になった男」もそうだ。今さらながら、気がついたゾ。
「東洋一の本」の場合、あとがき番外地にも書いたように、少なくとも3種類のジャンルにまたがるなと、これは最初から意識していた。実際、都内大手の書店を見ても、置かれている棚が、普通の新刊、サブカル、マスコミ本、エッセイ、歴史、観光…と書店ごとに違う。悩んでたんですね、みんな。
 某書店のオンラインショップなど、「ギャグ・ナンセンス」というカテゴリーの中に「東洋一の本」が入れられていた。そ、そーなのか? この本って…。
 私は「すでにあるような本を書いたんじゃつまんないし、読者にも申し訳ない」と思って書いているのだが、この思いがかえってアダになっていたのか!!なんてこったい。
 うーん。以上が私の「虎の門事件」でした。

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