あとがき番外地32005/06/13 10:45

前回までのあらすじ
たかが「あとがき」に、あらすじもないもんだが・・・。

この本はまず、「雑学本」として楽しんでもらってもいい。

次の段階として「アジア問題」という内容を読み取ってもらっても、またよし。
現在の中国、韓国の反日気運は「21世紀の東洋一争い」と見れば理解しやすいんじゃないか、ということ。

そして、この本を書いた一番根っこのテーマはなにかというと、「もっと疑問を持とうよ」ということなんですね。
別に私は何十年も「東洋一」にこだわってきたわけじゃない。いま興味のある疑問の対象として、東洋一を選んだのだ。

あぁ! たいへん野暮なことを書いてるとは承知の上で、続けますよ。

自分で言うのもナンだが、この本に書いていることだって、読者は疑ってみてもいいと思うんですね。いえ、そりゃ、私はゴマカシているつもりはない。凄い発見をしたつもりで書いています。が、なにか私の思い違いがあるかもしれませんからね。
たとえば朝日新聞の見出し調査など、たいへん興味ある結果だったが、一紙ではどうも納得いかないという人は朝毎読三紙を検索するのもいいだろう。ま、そんなのは読者がやることではなく、学者さんの領域でしょうが。テーマがなくて困っている学生さんには、うってつけの題材だと思いますよ。

「東洋一」に限らず、いろんなもの(特に、堂々としているもの)は、まず疑ってかかった方がいい。すると、いろいろ面白い一面が見えてきますよ。

衝撃の光景2005/06/15 11:57

 いやぁ。先日、虎ノ門の某書店で、見てしまったんですね。
 たまたま私が行った棚で、ちょうど店員さんが本の整理をしていた。と・・・彼の手にある数冊の本の一番上が、なんと「東洋一の本」ではないですか!
(おお! 彼は私の本をどうしようというのだ?)
 キョーミシンシン、私は何食わぬ顔でそばに立って、観察してた。

 店員さんが立っているのは「ノンフィクション」の棚。どうやら、そこから抜いた何冊かの本を手に持っているらしい。で、ガサガサといくつかの本を乱暴に入れ替えて、彼はフト、手に持っている本に目を落とす。それは「東洋一の本」。
 おそらく、
(これは、どの棚に置くのか?)
 ということを思案しているのだろう。
 私としては、
(悩まなくていいんだよ。そのままノンフィクションの棚でいいんだから)
 という思いなんですけどね。
 彼は、じっと「東洋一の本」の表紙と、帯の文章を読んでいる。著者である私はドキドキで、そばで見ていましたよ。なんか、我が子の入試の合否判定を待っている親の気分。

 もちろん店員さんは、まさかすぐそばに著者がいようとは知るよしもない。で、彼はその本の束を持って、別の棚に移動した。
 そこはエッセイの棚。
(ああ。ま、その棚でもいいけどね)
 と私は思う。
 彼はそこで、またガツガツと他の本を乱暴に入れ替えたりしてる。が、結局、「東洋一の本」をはじめとした数冊の本の束はそこの棚にも並ばない。
 彼は再び、手にした本の表紙をじーっと眺めている。本を開くわけではなく、まるでX線で透視する特殊な目を持っているかのように凝視している。
(あぁ、頼む! 早く、どうにかして!)
 と私は身もだえする思いで、そばに立っていた・・・・。(続く)

続・衝撃の光景2005/06/23 02:58

(続き)
……で、店員さんは結局、その本の束を棚ではなく、ドスンと傍らのワゴンに乗せた。ワゴンには、他にも何冊かの本が乗っている。
(ま、まさか……)
 という私の予想通り、彼はやがてそのワゴンをガラガラと押して、店の奥に消えて行ってしまったのだ。たぶん「返本」なんだろうな。う、う…、悲しい。なんだか、目の前で我が子と離れ離れになるようで、とんと安寿と厨子王の気分である。

 ここで気がついたのだ。店員さんは、どうして食い入るように「東洋一の本」の表紙を見て、悩んでいたのか? 考えるに、毎日山のように配本される新刊書の扱いについて、全国の本屋の店員さんというのは、
①著者が有名
②タイトルが有名
であれば、すぐにどの棚に置けばいいかわかる。そうでない場合は、
③どのジャンルの本か一目瞭然
であれば、やっぱり置き場所はすぐわかる。

 私の本が①②を満たしていないのは、毎度のこと。これはもはやしょうがないので、諦めている。では③なのだが、私はこれまでにいつも意図して、ジャンルの定かでない本を書こうとしていたのだ。「宇宙の法則」もそうだった。「団地になった男」もそうだ。今さらながら、気がついたゾ。
「東洋一の本」の場合、あとがき番外地にも書いたように、少なくとも3種類のジャンルにまたがるなと、これは最初から意識していた。実際、都内大手の書店を見ても、置かれている棚が、普通の新刊、サブカル、マスコミ本、エッセイ、歴史、観光…と書店ごとに違う。悩んでたんですね、みんな。
 某書店のオンラインショップなど、「ギャグ・ナンセンス」というカテゴリーの中に「東洋一の本」が入れられていた。そ、そーなのか? この本って…。
 私は「すでにあるような本を書いたんじゃつまんないし、読者にも申し訳ない」と思って書いているのだが、この思いがかえってアダになっていたのか!!なんてこったい。
 うーん。以上が私の「虎の門事件」でした。