エピソード22005/12/29 01:37

「誰もいそがない町」に収められた各編についての、エピソードを書いていく。


きみが眠りにつくと
・・・これは人気の高いストーリーで、実は自分でもとても気に入ってる。「海」をこういうモチーフで扱った作品は、ぼくが知っている限りで2つあった。よって、先行する2作品とは違う展開になるよう、気をつかって書いたのを憶えている。ところが、出版が決まったあと、別の海外作品で、やはり「海」をこういうモチーフに使ったものを発見した。
面白いものだ。時代も、国も超えて、人は似たような発想をするものだ。


うぼつて
・・・以前住んでいたマンションの敷地内に小公園があって、そこに鉄棒があった。ある日ぼくは、それをつかみ「えいっ」と体を浮かせてみて、愕然とした。ただ体を支えるだけで、腕がプルプル震えるのだ。子供の頃は、自分の体重を支えるのなんて、どうってことなかったのに・・・・。
と驚いたことから、作った話。


地下鉄の出口で
・・・「虎ノ門」駅は、けっこう何度も利用するのだが、いまだに、階段をうねうね回っていると、思いもしない地上に出て、ビックリすることがある。
そんな思いから作ったストーリー。読者カードで、この話がいいという意見もあったようだ。


(続く)